役員コラム④「OPEN」

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メールマガジンと連動して、NPO法人日本森林療法協会の役員がリレー形式でコラムを掲載して参ります。
第4回目は理事の佐藤 栄児さんです。



OPEN!

                                                 佐藤 栄児

 


「その人が問題なのではない。問題が問題なのだ。」

先日受けた依存症関連の回復のためのセラピーの最も重要なセンテンス。会場には様々な「問題」を抱えた人たちが集まっていた。そして最終的に気づいたのは、まぎれも無く僕自身も「問題」を抱えた人間であるということだった。

 

 僕たちは、問題を抱えている。問題の名前は「バンパイア」とする。僕の中の「バンパイア」は居心地が悪くなると相手を攻めたり人のせいにしたりして居心地の良い環境を守ろうとする。あるいは心という空間の広いスペースを占領しようとする。

 

 セラピー開始。といっても、一人一人に渡されていたスクラップブックにそこら中に用意されている様々なシールや雑誌をきりぬいては貼付けていきながら今日までの自分年表を作成する。遊びは「バンパイア」が最もいやがる行為の一つ。遊びに夢中になっているとバンパイアの存在は心の片隅に追いやられてしまう。夢中になって年表を作っていくと所々でとても苦労した時期に困った顔のシールが貼られていた。僕の場合は27歳と35歳の頃だ。次の作業はそのしんどかった時期に注目して僕を救ってくれた「gift(ギフト)」を抽出する。「gift」はバンパイアにとっての十字架。「gift」は問題を心の片隅に追いやり、悪さできないくらい力を奪ってしまう。

 

 僕がセラピストに導かれるままに目を閉じた意識の中で「gift」達がくれた言葉は「おまえはそのままでいいんだよ。誰も悪くなんか無かったんだ。」

 

 バンパイアを手なずけたなんて、まだまだ思えない。だけど、こいつは一生自分の中に住み着いていて追い出す事なんかできない自分自身の一部分。だから僕はこいつが僕の心の中でいつでもちんまりと体育座りしてしょんぼりしている、そんな状態にしておきたい。悪いけど。

 

そのためには、僕はいつだって孤独にならない。そして一人で抱え込まない。状況や相手のせいにしない。人に変わってもらおうとしない。世界を変えるのは自分では無いけれど、自分自身が変われば見える世界が変わってくるのだから。

 

 資本主義末期の世知辛いこの時代に、そんな風に心を開いて生きていく事はとても大変な作業だ。でも僕はいつだってそんな風に生きていきたい。自然の中では、5感で感じるすべての生命が有機的に躍動している。静かに、でも確実に。閉じかけた心を抱えて自然の中に行くと、僕はもう一度自分の開いた状態をとりもどすことができる。

 

 森林療法はいつの間にか、僕が心を開いていつづけるための大切な「gift」のひとつになっていた。

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このページは、事務局が2014年5月30日 08:59に書いたブログ記事です。

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