コラム:森林療法のエビデンス⑥

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会員の皆様へ季刊でお届けしております、会報誌「森林療法」2013年6月に発行しました25号より、理事の飯田みゆきさんに寄稿いただきましたコラムをお届けいたします。


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「EBMを超える医療の評価法とは」

理事 飯田みゆき


今回はちょっと視点を変えて、2013年5月12日にNPO法人ホリスティック医学協会主催の研究会で講演された、心身一体研究所・ルーエ主宰 本宮輝薫先生の講演「EBMを超える評価法の提案~high probabilityの提案」から森林療法のエビデンスを考察してみたいと思います。

EBMとは、エビデンス(科学的根拠)に基づく医療のことで、現在は「二重盲検法(にじゅうもうけんほう)」が評価法の中心になっています。「二重盲検法」とは、医者にも患者にも薬や治療法などの性質を教えないで進める試験方法で、プラセボ効果(思い込み効果)を防ぐために客観的な評価法として重要とされています。
しかし、代替療法の場合は二重盲検法が適していないことも多く、別の基準を探りましょうという研究会でした。

【本宮輝薫先生講演の概略】

エビデンス(科学的根拠)は「実験と検証によって確証されたもの、同一条件において再現可能であるもの」を求められる。例えばフィギュアスケートでは、技術点はジャンプ、ステップ、スケーティングなど、あらかじめ同一基準が設定され、主観の入る余地は少なく、その評価は客観性の高いエビデンスの考え方に近い。

しかし、アーティスティック・インプレッションの得点は、何をもって芸術性が高いかは、きわめて主観的のものとなる。多くの採点者や観客は、浅田真央の演技に対して高いアーティスティック・インプレッションを体験・実感するが、それが何故なのかは科学的に実証できない。
しかし、審査員の恣意的な判断でしかないのかというとそうではなく、そこには、高い共同認識が存在する。つまり、わたしたちは「計測可能な世界」と「計測不可能な世界」とに生きている。

たとえば、脈拍や血圧などは計測可能であるが、相手や条件によって簡単に変化する。生命体は絶えず相互関係にあって、その相互関係の中で生命活動が営まれる。そこは客観的に計測可能な世界ではなく、脈拍や血圧も正確にいえばエビデンスは不可能である。
まして、感情や意識は、即座に変化する。この世界のほとんどの事象は、客観的に認識できるようにはならず、われわれの生命世界は、むしろ美・快・気持ちいい・美味しいという直観的・感覚的なものに囲まれている。 

しかし、「計測不可能な領域だから、主観的にならざるをえない。だから、客観的な判断や評価はできない」と、考える必要はない。実感・体験・直観に基づいて、一定の共同認識が可能になり得る。つまり、高い蓋然性(high provability)を持った認識が可能となり得る。これは体験や実感などから、多くの人にとって共有できる認識が存在し、そうした認識にとっては、高い真理性が存在する、という考え方である。

【考察】

当協会では、森林療法も代替療法の一つであると考えています。そして、森林の健康効果を西洋医学の手法で評価することの難しさも感じていました。
森林セルフケアでは、血圧もストレスホルモンも測定しませんが、ひとりひとりの直感的、感覚的なものを大切にしています。その感覚を共有する場としての「対話」も大切にしています。

「ひとりひとりの体験・実感が多くの人にとって共有できる認識として存在すること」を蓄積していくことが、森林の健康効果の根拠になっていくように思います。蓄積していくためには、対話だけでなく、アンケートなどの質的解析も必要になるのかもしれません。

まだまだ先の長い話です・・・。


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このブログ記事について

このページは、事務局が2015年7月13日 08:24に書いたブログ記事です。

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