コラム:森林療法のエビデンス⑧

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会員の皆様へ季刊でお届けしております、会報誌「森林療法」2013年12月に発行しました27号より、理事の飯田みゆきさんに寄稿いただきましたコラムをお届けいたします。


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「生理機能に対する科学的検討~免疫」

理事 飯田みゆき


前回から、実際の森林が私たちの身体~自律神経、内分泌、免疫などの生理的指標の変化にどのように影響しているのかを紹介しています。

今回は免疫システムのひとつであるNK(ナチュラルキラー)細胞に与える影響について紹介します。NK細胞はリンパ球の一種で、ウイルスに感染した細胞やがん細胞を殺傷する役割をしています。がん細胞は健康な人でも毎日3,000個〜6,000個くらいは体内で発生していると言われており、がん細胞をいち早く発見して殺傷するのがNK細胞です。


◆2泊3日の森林浴プログラムでのNK細胞の変化

企業に勤める37~55歳の男性12名を対象に2泊3日の森林浴プログラムを行った。2日目の午前8時に採血を行い、午前と午後に2時間ずつの森林散策(約2.5km)を行った。3日目の朝8時に再び採血を行い。結果、NK細胞の活性を増強させ、数自体も増加させた。さらに抗がんタンパク質の増加がみられた。
(森林技術768(3):13-17,2006)

【補足】
 「NK細胞の活性が増強した」というのは、NK細胞がウイルス感染細胞やがん細胞を殺傷する力が強くなったようなイメージです。実際にがんを殺傷するときに使うタンパク質「抗がんタンパク質」の増加も見られています。NK細胞の数が増えるだけでなく、パワーアップしたことが見られています。

 
◆森林環境と非森林環境でのストレス負荷状況におけるNK細胞活性、抗体への影響

男子大学生10名(平均20.6歳)と女子大学生(平均21.3歳)を被験者とした。被験者は森林環境と非森林環境で8時間を過ごしたが、そこで2つのストレスのかかる課題を行った。1つは冷水に手首まで浸す冷水負荷試験、もう1つは色名と異なる色で書かれた色の名前を見て、正しい色を答える精神作業負荷試験。免疫系指標としてはNK細胞活性と抗体の量を測定した。その他、内分泌、中枢神経、心理などのいくつかの指標も同時に検討した。

ストレスを実験的に負荷したにもかかわらず、森林環境で過ごした前後で、NK細胞活性と抗体の量は有意に増加した。非森林環境ではNK活性は低下し、抗体量は変化がなかった。非森林環境に比べ森林環境では、免疫機能が向上していることが示されたと同時に、森林環境がストレス負荷による免疫反応への緩衝効果を有していることを実証したものと考えられる。

また、免疫指標では森林環境の効果がみられているのに、心理指標においてはその効果が検出されなかったことは、森林浴の効果が必ずしも自覚されるものではないことを示している。
(東海女子大学紀要 19:217-232,1999)

【補足】
抗体は、リンパ球のうちB細胞が産生するタンパク質で、体内に侵入してきた微生物などを抗原として認識して結合します。抗体が抗原へ結合すると別の免疫細胞が認識して体内から除去するように働きます。抗体が増えたということは、免疫機能が向上したことを示しています。ストレスのかかる課題を行いながらも、免疫が向上するなんて、森林環境は頼もしいですね。


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このブログ記事について

このページは、事務局が2015年9月16日 08:46に書いたブログ記事です。

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